妹が「明日デートに
着ていく服がない。
お姉ちゃんのコート、
貸してくれない?」
と言ってきた。
微妙にカチンときた。
妹は服をいっぱい持ってるはずだ。
先週も原宿で
あったかそうなパーカーを買ってきた。
ふかふかの裏地が
ついたやつ。
「うん、でもさお姉ちゃん、
あれだと
カジュアルすぎない?
彼と夜景が見える
レストランに行くの」
大人っぽく見えるコート、
貸してやれないことはない。
ただ、何かがいやだった。
嫉妬?
ううん、嫉妬はしてないよ。
執着かな?
いったい何に執着しているんだろう。
ただ一晩だけ貸してあげたら、
そのコートは返ってくるのに。
◆
人間、特に女の子にとって
衣装はパワー、力です。
着る物だけじゃなく
お金や時間、本や道具なども
そうかもしれません。
「いいよ、貸してあげる」と
こころよく言える時は
力にあふれ、余裕がある時。
人に貸したりあげたりするのが
不安な時は
ぎりぎりで安定を保っている時でしょう。